海外留学体験談
Study abroad experiences

留学体験談2024年度取材時

素晴らしい留学体験を生かし
英文学科の国際化に尽力したい

  • 留学先
  • 安酸 雛子Hinako Yasukata
    留学先:ケンブリッジ大学
  • 留学しようと思ったきっかけは?

    中学生の頃、祖父がケンブリッジ大学の研究員として働いていた関係で、私自身、ケンブリッジ大学セントキャサリンズ・カレッジを訪れたことがあります。その際、重厚な建物や雰囲気、美しい光景にただ圧倒されました。また卒業シーズンだったこともあり、マントを着用して行き交う学生たちを見て、「いつか私もこの一員になれたらいいな」と思ったものでした。それが留学に対して意識が高まったきっかけだったと記憶しています。のちに、同志社大学がケンブリッジ大学セントキャサリンズ・カレッジに正規留学できる唯一の協定校だとわかり、進学を決意。入学したなら必ずケンブリッジ大学への派遣留学に挑戦しようと決め、入学前からIELTSスコアの取得に向けて勉強を始めました。そして挑戦するなら最高峰の大学と考え、出願先はケンブリッジ大学のみにしました。
    今、私が思うのは、入学に当り、何か目標を持っておくと大学生活がより充実したものになるということです。私の場合はそれがケンブリッジ大学への留学でしたが、4年間でこれを成し遂げる、これをしっかりと学ぶという意志が英文学科での日々をより有意義にしてくれるはずです。

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  • 留学のためにどんな準備をしたか?

  • ケンブリッジ大学への応募には7.0以上のIELTSスコアが必須だったほか、GPAと面接も学内専攻の際の項目でした。そこで、高校の頃にIELTSの勉強に集中、入学時にはスコアを保有している状態にしておきました。IELTSはイギリス英語が主体で難易度も上がります。私は子どもの頃、父の仕事の関係でアメリカに滞在していたこともありアメリカ英語は身についていましたが、イギリス英語はほぼ初めて。当初は苦戦しましたが、毎日、BBCを聞いたりライティングを練習するなどして克服。入学後もイギリス人教授の基礎演習などをとり、継続してBBCを聞いてイギリス英語に慣れるよう努めました。さらに、ケンブリッジ大学への留学枠が1名だったため、高いGPAの取得に励みました。その結果、同志社校友会(OBOG会)より学内2名に送られる同志社校友会グローバル人材育成奨学金をいただくことができました。加えて、4年間で学士過程を卒業できるよう1回生 の頃から計画的に科目を履修。留学する2回生春学期までは常に限界まで時間割を詰め、単位を取得しました。学業の忙しさとサークル活動、遠距離通学でアルバイトでもできませんでしたが、ケンブリッジ大学に留学するという強い気持ちで乗り越えました。

留学先の特徴は?留学先でどのような学びを得られたか

海外留学体験談

英語を勉強するのではない、「英語で勉強をする」体験はとても貴重なものでした。ケンブリッジ大学には31のカレッジが存在し、カレッジごとにSupervisionの受講が必須です。これは教員と学生が1~3人程度のきめ細かな個人授業のことです。このSupervisionは非常に厳しく、1つの問いに対して、教授から禅問答のように問われ続けます。その題材は主に古典文学であり、問いに正解はないのですが、深い理解が必要で、自分の意見を持ち、その裏付けを取るための綿密な予習が求められました。私は一般講義に加えSupervisionも多く受講し、古語の英語で書かれた作品の解読及びレポートの作成に連日深夜まで取り組みました。想像を絶するような負担からくじけそうになり、「とんでもない場所に来てしまった」と思うこともありました。ですが決してさじを投げず、辞書にも載っていない古語を解読したり、理解できるまで図書館中の文献や日英の論文を読んだり、学友と励まし合いながら課題に向かううち、徐々に難解だった古語を理解できるようになりました。そしてある日、大英図書館で、英古典作品の解説書ではなく原著を読んでいることに気づき、粘り強く一途に努力し続けることの大切さを知りました。

海外留学体験
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  • 留学中の生活スタイルは?

    ケンブリッジ大学は3term(3学期)制で、それぞれ8週間と日本の大学に比べて短いです。しかしterm中は大変忙しく、学生は昼夜問わず勉強に追われます。私自身、一般教養とSupervision以外の時間はひたすら予習・復習・課題に当て、睡眠や食事の時間も惜しんで勉強しました。夜が明けるまで図書館にこもることもあり、間違いなく人生で一番勉強した1年間でした。
    学業外の時間は各カレッジで開催されるフォーマルディナーという晩さん会に友人らと招き合ったり、パーティやアフタヌーンティーなどを楽しみました。また、私は小学校からテニスやっていて、カレッジのテニスチームに即戦力で招集され(笑)、カレッジ対抗の試合に参加するなど、学部やカレッジを超えて友人に恵まれました。博物館や美術館にも頻繁に足を運び、講義で扱う作品の理解を深めるなど多忙なterm中も、メリハリのある充実した時間を過ごすことができました。
    termの終わりの余暇には欧州10ヵ国を1人旅。歴史ある国々で作品の舞台となった地などを訪ね、見聞を広めたことは私の大きな財産です。英語で多くの人と交流でき、いろいろな考えに触れることで世界の広さを改めて実感した経験でもありました。

海外留学体験

留学経験をこれからどのように生かしていくか

帰国後は、これまで学んできた英国詩の情景をふとした日本の風景に重ねたり、友人たちと英国詩に興じたりしている自分に気づきました。今までの国内外でのすべての学びがつながり、英文学科での講義の理解が一層深まりました。また、大量の難解な課題をこなしてきたことで精神力が鍛えられ、何事も必ず乗り越えられるという自信がつきました。
 卒業後は同志社大学の職員として働きます。就職活動では、英文学科や留学先で真摯に勉強に励んだこと、英語力、校友会グローバル人材育成奨学金を得たことを高く評価していただき、複数のグローバル企業から内々定も受けました。けれど次第に、「後輩にも同志社大学の学びを経験してほしい」との思いが強くなりました。私が何にも代えがたい経験をできたのは、先生方、職員の方々、OBOGなど多くの方々の良心のお蔭です。その良心のもと、多くの後輩にも人生が変わるような体験をしてほしい。私がその一助になれたなら幸いです。そして英語力と海外経験を生かし、同志社大生であった誇りを忘れずに、「海外留学するなら同志社大学」「日本に留学するなら同志社大学」と国内外の学生に選ばれ続けられるよう、さらなる国際化に向けて尽力したいと思います。