最高の選択だったドイツ留学
将来の可能性が広がりました
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大野 碧Aoi Ohno留学先:テュービンゲン大学
英文学科ではさまざまな留学の制度があり、私も入学当初から留学するアイデアは持っていました。ずっと日本で暮らしていましたので、一度、家族や友人、学校など既存の社会から自分自身を切り離し、自分とはどういう人間なのかを改めて見つめ直したいと思っていたのです。また異国の文化や人に触れて、自分にはない価値観を得たいとも考えていました。そして、同志社大学独自の「ドイツ語・異文化理解EUキャンパスプログラム」という半年間の留学制度があることを知り、第二外国語に「ドイツ語」を選びました。このプログラムはドイツのテュービンゲン大学内に設置されている同志社大学の海外キャンパスで開講されます。駐在員が常駐していてサポートが手厚く、留学の募集人員が15人というのも初めての海外経験への不安を軽減してくれました。
私はサッカーが好きで、ドイツに関心があったのも留学してみたいという理由のひとつでした。そしてドイツ語を集中的に学べることはもちろん、他のヨーロッパ諸国に比べて英語がよく話されているのを知り、英語とドイツ語の両方が学べるというのも魅力でした。まさに、さまざまな条件が私にぴったりのプログラムでした。
英語とドイツ語の勉強に特に力を入れました。英語では、「ドイツ語・異文化理解EUキャンパスプログラム」への出願に向け、自分自身の英語力を高める目的でTOEFL IBTを定期的に受けるようにし、計4回受験。この間、TOEFL IBT の問題集や単語帳を片時も離さないように意識していました。また、留学準備講義にあたる「Study Abroad Presentation」とTOEFL IBT、IELTSのクラスを同時受講。これらの授業で英語試験全般の対策を行うことができたのはとても有意義だったと思います。またネイティブの先生の授業でしたので、スピーキングの練習に大変役立ちました。ドイツ語も主体的に対策しなければと考え、初修外国語の授業に加えて「ドイツ語会話」を受講し、1年を通して週3回はドイツ語に触れるようにしていました。最初はドイツ語ならではの男性詞、女性、中性詞の区別などに苦労しましたが、少しずつ理解するうちにドイツ語の歴史的な長さや奥深さに興味が湧き、ドイツへ留学するのだという意識がリアルに高まっていきました。留学にはGPAも重視されますので、高い成績がとれるよう予習復習、課題の提出、テスト勉強などには、妥協せず徹底的に取り組みました。
ドイツは全体的に時間がゆっくりと流れていました。日曜日はキリスト教における安息日で大抵の店や施設が閉まります。初めは不便だし退屈にも感じましたが、何もしない分、それは実は自分のしたいことのできる時間だと気づき、ドイツ語の勉強やドイツ菓子作り、電車で見知らぬ街に出かけたり、散歩をしたり、自分と向き合って過ごしました。また公共交通機関は遅れたりキャンセルになったり別のホームになるのも珍しくありません。このような経験から、思い通りにいかないことも冷静にとらえどうすべきかを判断する力がついたと思います。さらに、日本にいる私は受け身なタイプでしたが、自分からフラットメイトに話しかけたり、隣町で現地の人に道を聞きながら買い物を楽しむなど、意外なほど積極的な一面に出会うことができました。フラットメイトは多国籍の6人で、みんなドイツ語がペラペラです。町に出ても当然そうですし、日々、暮らしの中でふとドイツ語が上達していることに気づくことも多かったです。
ほかにも、ムスリムの友人と寝起きを共にし、日本で生活していたなら気づかなかった多種多様なバックグラウンドのある人達を理解し、お互いを思いやる大切さを痛感するなど、自己成長を実感する半年間となりました。
テュービンゲン大学では、平日はドイツ語に加えてヨーロッパの歴史や政治についての授業を受講しました。このうちドイツ語は10時から13時までみっちり、当たり前かもしれませんがすべてがドイツ語でドイツ語を学びます。ついていくのに必死で、日々、寮での復習や休みの日にもドイツ語の勉強に向き合いました。このドイツ語のクラスにはアメリカ、オーストラリア、台湾、トルコからの留学生がいて、授業後にカフェに行っておしゃべりをしたり、ドイツ人の友人とドイツ語と日本語を教え合ったりしました。寮ではフラットメイトと時間が合えば朝食や夕食を共にし、料理をシェア。自炊の腕前も上がり、自立的生活をするよき機会になったと思います。彼らとは共通語として英語で話していましたが、ドイツ語の会話やプレゼンテーションの練習にもつきあってくれました。
休日には、イギリス、イタリア、スイス、スペイン、オーストリアなどを旅しました。ドイツ語の通じる国、英語の通じる国、どちらもなかなか通じない国といろいろですが、ここでも意外なほどの積極性が発揮できコミュニケーションに自信がつきました。またドイツ語へのモチベーションも向上するなど、楽しくて貴重な体験でした。
初めての海外生活、そして留学を体験したことで、挑戦することのハードルが下がり、どんなことに対してもまずはやってみよう、と思えるようになりました。挑戦しないと得られない学びがあり、失敗も教訓になると信じています。また、留学前は4年での卒業にこだわっていましたが、ドイツでは年齢はあくまで数字であり、そのほかの要素はほとんどないということを感じました。年齢にとらわれず貪欲に学ぶ多くの仲間の姿を見て、私も自分に正直に生きてみようと思うようになりました。今は、新卒で就職という型にはまらず、たとえば国内外の大学院への進学なども視野に、自分自身の可能性を広げておきたいと考えています。
帰国後、ドイツ語と英語をもっと伸ばしたい、専攻している「言語学」など同志社での学びと留学先での学びを結びつけてより深めたいという思いが強くなり、派遣留学に出願し、合格。今年(2025年)10月から、ドイツのマインツ大学に1年間に留学することとなりました。きっと半年間の留学経験がなければ、不安が先立ち長期留学を志すことはなかったと思います。ドイツ留学を決めたことは私にとって最高の選択でした。